私は、社会人としてのキャリアを国際機関アジア生産性機構(APO)国際事務局スタッフとしてスタートしました。APOはアジア太平洋地域の生産性向上を目的とした機関で、調査、シンポジウム、研修・セミナー、視察団派遣、専門家派遣など、多様な事業を展開しております。ここで、国や地域を越えた加盟国同士のネットワークを形成する活動に携わった経験が、私の原点となっています。
その後、1991年に上司であったS.K.スブラマニアン氏、青山修二氏とともに、事務局専門会社である株式会社ハートウエア21を設立しました。日本国内では事務局といえば、定型的な事務処理やルーチンワークが中心とされがちですが、海外ではより包括的な役割が求められます。プロジェクトのコーディネーション、外部専門家との交渉、業務の優先順位付けや効率化に関する判断など、マネジメント的な要素や戦略的な判断が求められます。私たちは、そうした業務を担う会社を目指してきました。
会社設立から30年余りが経ち、慶應大学SFCの産学連携フォーラムや、Sun Microsystemsの開発者コミュニティ、デジタル政策提言団体・オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)など、多くの団体の運営に携わってきました。特に、2011年の創設時から関わってきた一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)と、共に推進してきたデータマネジメントの普及啓蒙活動には、特別な思い入れがあります。データをビジネスに活かすため、多くの人々が自身の業務範囲を超えて支えている姿があったからです。彼らは経営戦略を理解し、業務知識に精通し、日々技術のトレンドをキャッチアップしながら、関係部署とのコミュニケーションを進める高度なプロフェッショナルたちです。
このほど、有志と共に活動をはじめた「データ横丁」は、日々データを扱う実務者がゆるやかにつながるコミュニティです。ここでは、例えばデータ活用やデータ組織などのアップデートな話題を取り上げながら、データ業界、特にはデータマネジメント分野で活躍する個人が交流し、情報を共有し合える場を提供します。「データ横丁」という名前には、共通するテーマ関心で集る小さなグループ(店舗)が連なって、賑やかな横丁(業界)を作り上げるというイメージを込めました。
また、JDMCはじめ各関係団体との連携を大切にしており、競合関係になることなく、協力して業界の発展に寄与していくことを目指しています。まずは、情報発信やイベントを通じて、業界に関わる人々や業界全体に貢献する活動を進めていきたいと考えています。
何卒ご支援ご指導の程お願い申し上げます。
2024年10月吉日
データ横丁主宰 臼井琴美
(株式会社ハートウエア21代表)